日本の送料は、三辺の合計と重さと距離帯の三つで決まります。ゆうパックと宅急便とネコポスをどう使い分けるか、北海道と沖縄がなぜ全国一律を壊すのか、送料込みにすると手数料がどう変わるのか。運送会社の料金表の正しい引き方と、赤字を出さない見せ方の決め方を、実際の梱包の寸法から順に書きました。
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送料を ¥800 と書きました。窓口で出てきた数字は ¥1,530。注文は ¥3,200 だったので、その日の午後はヤマト運輸のために働いたことになります。
送料を決めているのは三つの数字だけです。三辺の合計、重さ、そして発送元から届け先までの距離帯。全部、運送会社の料金表に書いてあります。あなたが決めるのは金額そのものではなく、そのうちいくらを買い手に見せるかです。
この記事に料金表は載せません。確認していない数字を書かないためです。代わりに、どの表をどう引けばいいか、そしてどこで間違えるかを書きます。
新潟県三条市で鋳物のフライパンを作っている中村さんは、24cm のものを ¥8,900 で売っています。重さ 1.9kg。梱包すると 30×30×12cm になるので、三辺の合計は 72cm。小さくて重い、送料的にはやさしいほうの商品です。同じ人が作っているキッチンばさみは ¥3,400、150g、厚さ 2.5cm。こちらは箱に入れると損をします。
海外の配送の記事を読むと、必ず「容積重量」と「除数」の話が出てきます。縦×横×高さを 5000 で割る、みたいな計算です。
日本の国内便には、あれは出てきません。日本の宅配便は、三辺の合計(cm)でサイズ区分が決まり、そのサイズ区分ごとに重さの上限があるという形をとっています。60サイズ、80サイズ、100サイズ、という言い方をするあれです。
だから最初にやることは、割り算ではなくて、メジャーで測ることです。縦、横、高さ。梱包した後の寸法で測ります。緩衝材を入れると 68cm だったものが 74cm になって、区分がひとつ上がる。これがよくある事故です。
ここで混乱が起きます。サービスによって、決まり方が違うからです。
**この三つを混ぜて覚えていると、必ず窓口で驚くことになります。**中村さんのフライパンは 72cm で 80サイズ相当ですが、2.2kg(梱包込み)が 80サイズの重量上限に収まるかどうかは、使うサービスによって答えが違います。上限の数値は運送会社のページで確認してください。
日本の配送を分ける一番大きな線は、サイズでも重さでもなく、これです。
郵便受けに入る便は安く、追跡が付くものが多く、再配達が発生しません。買い手が家にいなくても届きます。厚さに上限があるので、そこに収まるかどうかが全てです。ネコポス、ゆうパケット、クリックポスト、レターパック、定形外郵便などがこの系統です。
玄関で手渡しの便は、ゆうパックと宅急便です。大きいもの、重いもの、壊れやすいものはこちら。時間帯指定ができて、補償が付きます。その代わり不在なら再配達になります。
中村さんのキッチンばさみは厚さ 2.5cm。緩衝材を薄いものにして、封筒に入れて 2.8cm に収まれば、郵便受け系の便で送れます。箱に入れて 60サイズにすると、送料は跳ね上がります。同じ商品で、梱包の仕方だけで送料が二倍以上変わる。これが薄物の勝負どころです。
厚さを測るときは、厚さゲージを使うか、自分で厚紙にスリットを切って作ります。目分量で「たぶん入る」と思って持っていくと、窓口で切り替えることになります。
| 見るところ | なぜ |
|---|---|
| 厚さの上限 | 一番よく引っかかる |
| 追跡の有無 | 「届きません」と言われたときに証拠が要る |
| 補償の有無 | 郵便受け投函の便は補償が無い、または限定的なことが多い |
| 全国一律かどうか | 一律なら送料の設計が一気に楽になる |
| ラベルの作り方 | ウェブで作って印刷するのか、窓口で書くのか |
クリックポストやレターパックのように全国一律の料金になっているサービスは、送料の設計を一段楽にします。北海道でも沖縄でも同じ数字を書けるからです。使えるサイズに収まる商品を持っているなら、これは大きい。
ヤマト運輸の小型薄型サービスは、ここ数年で名称や配達の仕組みが変わってきています。この記事を書いた時点の最新がどうなっているかは、ヤマト運輸のサイトで確認してください。ブログに書いてあるサービス名をそのまま信じて窓口に行くと、無い、と言われることがあります。
日本郵便側も同じです。サービスの統廃合はあります。年に一度は自分が使っている便の条件を見直す、くらいの構えでいるのが正解です。
これが日本の送料設計で一番大きな落とし穴です。
宅配便の料金は、発送元の地域と届け先の地域の組み合わせで決まります。同じ 80サイズでも、三条から名古屋あてと、三条から那覇あてでは、見る欄が違います。どれくらい違うかは自分で引いてください。中村さんは引いてから、全国一律をやめました。
離島も別です。沖縄本島と、そのさらに先の離島でまた変わることがあります。
全国一律 ¥800 を掲げていて、月に一件だけ沖縄から注文が来る。その一件で、その月の送料の利益が全部消えることがあります。件数が少ないうちは気づきません。気づくのは、沖縄からの注文が三件になった月です。
| 見せ方 | 買い手から見て | 売り手から見て |
|---|---|---|
| 実費(注文後に計算して連絡) | 金額が分からないまま注文するので不安 | 赤字にならない。手間は最大 |
| 全国一律 | 分かりやすい | 遠方で負ける。近場で得する |
| 地域別(北海道・沖縄を別枠) | ほぼ分かりやすい | 実務としては一番バランスが良い |
| 送料込み(送料無料表示) | 一番強い | 価格に埋め込む。遠方の注文で薄くなる |
日本の買い手には四つ目が一番効きます。フリマアプリで送料込みの表示に慣れているからです。ただし、埋め込んだ送料は遠方の注文で足りなくなります。
現実的な着地点は三つ目です。本州・四国は一律、北海道は加算、沖縄・離島は加算。三行で書けます。
お届け先が北海道の場合は ¥400、沖縄・離島の場合は ¥800 を加算させていただきます。
金額は自分の料金表から出してください。上の数字は書き方の例で、料金ではありません。
細かい話ですが、知っておくと設計が変わります。
Sailo のカード決済の手数料は商品代の 1–3% で、割引後の商品代にかかり、送料と税は対象外です。つまり、送料を「送料」として別に受け取れば 1–3% はかかりません。商品価格に埋め込むと、埋め込んだ分にも 1–3% が乗ります。
¥800 の送料を価格に混ぜると、一件あたり 4円。月に三十件なら 120円です。これ自体は誤差ですが、判断材料としては使えます。送料込みの見せ方を選ぶ理由は「そのほうが売れるから」であるべきで、手数料が安いからではない、ということがはっきりします。
なお Sailo のカード決済には Stripe に承認された接続済みアカウントが必要です。カード決済は Stripe だけを使っていて、他の決済会社は入っていません。Stripe が使えない国ではカードのボタンはどのプランでも出ません。提供国の扱いは変わりますし、この記事では日本の状況を確認していないので断定しません。stripe.com/global で確認してください。
前払いの銀行振込だけで回すなら、この 1–3% の話は関係ありません。振込の場合は代わりに振込手数料をどちらが持つかという別の論点が出てきます。そちらは銀行振込で代金を受け取るときに実際に詰まるところに書きました。
価格の付け方、写真、配送、そして代金の受け取りについてのメールを1通。宣伝も水増しもありません。
「◯◯円以上で送料無料」を感覚で決めている人が多いのですが、これは計算できます。
無料にした送料は、増えた注文金額の粗利で埋まっていなければ意味がありません。だから見るのは二つの数字だけです。飲む送料の額と、自分の粗利率。
送料が ¥1,100、粗利率が 40% だとします。¥1,100 を粗利で埋めるには、注文金額が ¥2,750 増える必要があります。¥1,100 ÷ 0.4 = ¥2,750。
つまり無料ラインは、いまの平均注文金額より ¥2,750 以上高いところに置きます。平均が ¥8,900 なら、¥11,650 より上。中村さんが ¥12,000 に置いたのは、この計算をして、キリのいい数字に丸めたからです。
低すぎるラインは、いま買っている人に送料をプレゼントするだけで終わります。高すぎるラインは誰も届かず、ただ表示されているだけになります。¥30,000 以上送料無料、と書いてある個人の店をときどき見ますが、あれは何も起きていません。
粗利率が分からないなら、先にそれを出してください。送料の設計はその後です。
日本の買い手は配達の時間指定に慣れています。指定できない店は、その時点で少し不便な店になります。
注文フォームに備考欄があるなら、そこで受けます。「配達の時間帯にご希望があればご記入ください」。この一行を足すだけで、再配達がはっきり減ります。減った再配達は、そのまま買い手の満足度になります。
置き配を受けるかどうかも決めておきます。壊れ物や食品は避けたいところですが、買い手から希望されることはあります。受けるなら、その場合の紛失や破損の扱いをどうするかを先に一行決めておく。これも書いておけば、起きたときに三行で説明できます。
代金引換だけは置き配ができません。対面で現金を渡す必要があるからです。代引を出しているなら、時間帯指定を積極的に受けたほうがいい。理由はコンビニ払いと代金引換を売り手の側から見るに書いたとおり、受け取れないまま戻ってくる荷物が一番高くつくからです。
資材を減らすのは、送料を下げるいちばん地味で確実な方法です。
商品ごとに手近な箱を使っていると、寸法が毎回変わります。寸法が変わると区分が変わり、区分が変わると料金が変わる。すると「この商品の送料はいくら」と言えなくなります。言えないから、多めに見積もって買い手に提示することになり、多めの分だけ離脱します。
やることは、よく出るサイズの箱を二種類に絞って、まとめて買うことです。中村さんの場合、フライパン用の 80サイズに収まる箱と、小物用の封筒。この二つだけ。だから送料の答えが二つしかありません。
資材は一枚あたりの単価で見ます。ホームセンターで一枚ずつ買うのと、資材屋でまとめて買うのでは、単価が変わります。月に三十件出すなら、その差は無視できません。
もうひとつ。**箱を一回り小さくすると、緩衝材が余計に要ることがあります。**区分が下がっても資材費と作業時間が増えるなら、差し引きで損をします。区分をひとつ下げるために毎回パズルをやっているなら、それはやめたほうがいい仕事です。
ヤマト運輸にも日本郵便にも、営業所や郵便局に自分で持ち込むと割引になる仕組みがあります。金額は運送会社のページで確認してください。
計算はしておいたほうがいい。営業所まで往復二十分、一回に五個持っていくとします。一個あたりの割引額 × 5個が、その二十分の対価です。時給に換算して割に合うなら、続ける価値があります。合わないなら集荷を頼む。中村さんの場合、営業所が徒歩四分なので迷う余地がありませんでした。
割引はほかにもあります。同じあて先に複数個口で送る場合、一定期間内に同じ伝票を再利用する場合など。名前も条件も会社によって違うので、自分が使っている会社に「個人事業主が使える割引を全部教えてください」と一度聞いてしまうのが早いです。
件数が増えてきたら、運送会社の営業担当に相談する価値もあります。月にどれくらい出しているかで、話が変わることがあります。これは電話一本の話です。
食品を扱うなら、冷蔵と冷凍は別料金で、サイズの上限も通常便とは違います。夏場に常温で送って溶かした、というのは一度やると取り返しがつきません。
壊れ物は、割れ物注意のシールを貼っただけでは守られません。中で動かないこと、外箱と商品のあいだに緩衝材の層があること。この二つです。梱包の水準そのものが日本では評価対象になるので、そこは商品写真をどこまで撮るかのほうにも書きました。梱包の写真を商品ページに載せておくと、壊れ物を買うときの不安がかなり下がります。
補償にも上限があります。いくらまでか、申告が要るのかは会社とサービスによって違います。¥8,900 のフライパンなら通常の補償で足りますが、¥50,000 の一点ものを送るなら先に確認しておく話です。
追跡番号は、発送したその日に買い手へ送ります。これをやるかやらないかで「まだ届きません」という連絡の数が変わります。代金引換で送るなら特に重要で、理由はコンビニ払いと代金引換を売り手の側から見るに書きました。
フライパンは ¥8,900、梱包込みで 72cm・2.2kg。宅配便の箱ものです。
キッチンばさみは ¥3,400、150g、封筒に入れて厚さ 2.8cm。郵便受け系の便で送れます。
この二つを同じ送料設定にしていたのが、最初の失敗でした。ばさみを 60サイズの箱で送っていたので、一件あたり数百円を無駄にしていた。厚さを測って封筒に切り替えたのは三ヶ月目です。
送料の見せ方は、いま地域別です。本州・四国・九州は一律、北海道は加算、沖縄・離島はさらに加算。この三行を商品ページの下に書いています。
¥12,000 以上で送料無料のラインを引きました。フライパンが ¥8,900 なので、もうひとつ何かを足すと届きます。これで一件あたりの金額が上がりました。ラインの決め方は簡単で、主力商品の価格 + 一番安い商品の価格、を目安にします。届きそうで届かない額に置くのが仕事です。
送料の数字を用意するのは、あなたの仕事です。どのツールを使っていても、運送会社の料金表を開いて、自分の発送元と届け先で引く作業は消えません。
そしてもうひとつ。Sailo の無料プランは商品10点までです。サイズ違いや色違いを別の商品として登録していると、10点はすぐ埋まります。送料の帯ごとに商品を分けるやり方を考えているなら、この上限は先に見ておいたほうがいい。Pro は $19/月(年払い $180)で100点、Business は $49/月(年払い $468)で上限なしです。
四つです。
送料の書き方が決まったら、次は写真です。全体の組み立てはウェブサイトを作らずに日本でネット販売を始めるにまとめてあります。
執筆
Sailo team
リンク一本に、ショップまるごと。
価格の付け方、写真、配送、そして代金の受け取りについてのメールを1通。宣伝も水増しもありません。
Sailo はそこに玄関をつけるだけです。連絡する前に、見て、比べて、値段を確かめられるように。
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